ODR(オンライン紛争解決)って何?! ODRのメリットとデメリットとは?!

弁護士 森理俊(大阪弁護士会)
弁護士 森理俊(大阪弁護士会)
2022/12/08

1 ODRとは


ODRとは、オンラインで紛争を解決する仕組みのことです。

Online Dispute Resolutionの略です。

これに似た言葉にADRがあります。

ADR(Alternative Dispute Resolution)は、裁判外紛争解決と翻訳される言葉で、民事上の紛争を解決するための裁判以外の方法を意味し、例えば、調停や仲裁といったものが挙げられます。

調停とは、ある紛争について、調停をする人を間に入れて、調停を申し立てた人と、その相手方が、話し合いをして、解決する道を探るプロセスです。

調停を申し立てるかどうか、申し立てられた調停を受けるかどうか、そして、合意するか、調停を止めるかは、いずれも自由です。

調停手続きで行われる合意は、「和解」と言われることがあります。調停を止めることを「不調」と言われることがあります。

「離婚調停」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。これは、家庭裁判所で行われる離婚に関する調停手続きを指し、離婚に関する諸々の論点について、話し合いによって合意点を探す仕組みです。

さて、近年のデジタル化に伴い、紛争解決方法もデジタル化の波を受けています。

裁判自体も、今年成立した改正民事訴訟法により、大幅にIT化が促進されることが決まっています。政府は、2025年度中の全面施行を目指す方針です。

一方、裁判所が関与しないADRの手続もデジタル化の波を受けています。

ADRがオンライン化したものをODRと呼ぶことが多いです。

2 ODRのメリット


ODRには、多くのメリットがあります。

まず、第一に、手軽です。

ODRによっては、全ての手続がオンライン上で進められますので、小難しい書面を用意して、裁判所やADR機関に手渡しに行ったり、郵送したり、といった手間がありません。

「紙」を用いるとなると、どうしても、「紙」に、どのように表現するのか、どの部分になりを書くのか、それは何を意味するのか、といったことから逃れられず、書面作成自体が難しく、億劫になってしまいます。

そのため、多くの場合、弁護士という裁判や紛争解決におけるプロフェッショナルを代理人として雇い、作成してもらうことになります。

ODRは、パソコンやスマホに向かって、聞かれたことを入力するだけで手続きが進みますので、紙での申立てに比べて、格段に手軽です。

第二に、安価です。

ODRは、「紙」を見て、処理して、記録を整理する人が不要であり、また、場所も取りませんので、紛争解決機関に人件費や建物の賃料がかかりません。

また、定型的な紛争や一定の類型の争訟であれば、争点の整理をある程度自動的に処理することも可能です。

これまで裁判所やADR機関で「人」が担っていた仕事がない分、ODR機関は比較的安価に紛争解決サービスを提供できることになります。

昨今のODRサービスでは、「申立ては無料」といった形で提供しているところもあります。

第三に、早いです。

ODRは、記録の整理や情報伝達に時間がかかりませんので、通常の裁判所やADR手続きに比べて、手続が圧倒的に早く進行します。

裁判所では、訴状を提出してから、1ヶ月以上先に最初の期日が入ることが普通であり、その期日からしばらく争点整理手続に関する期日が始まり、解決までに6か月以上かかることが普通であり、平均審理期間は9か月(平成30年)です。

一方で、ODRでは、当事者が一つの場所にあつまる必要がありませんし、移動時間を考慮しなくてかまいませんので、日程調整がスムーズであり、6か月以上がかかる事件は極めて稀といえるのではないでしょうか。最近では、1ヶ月以内の合意に至らなければ原則として「不調」とすることを前提として、期間を限定するODRもあります。

このように従来の裁判所やADR機関での手続きに比べて、数多くのメリットがあるのがODRです。

3 ODRのデメリット


実は、ODRを利用することについて、ほとんどデメリットはありません。

裁判所は、相手が納得できなくても、最終的に決着できるという点では、ADRやODRにはない「良さ」があります。

それでも、裁判所に訴訟を申し立てる前に、ODRを試しても、ODRの利用が面倒ではなく、また、結論がでるまでに1ヶ月程度しかかからないのであれば、一度、試してみる価値はあるといえるでしょう。

その時、強いてデメリットといえるとすれば、ODRに紛争の内容を入力する手間と1ヶ月程度の期間が無駄になる点くらいでしょう。

ODRにおいて、合意内容に満足できれば、短期間により安価に解決が実現したのですから、素晴らしいことですし、仮にODRでの調停人や相手方の行動や態度に納得ができなければ、合意をしなければよいのです。

裁判になれば、裁判官の行動や態度に納得ができなくても、変更してもらえることはほぼありませんので、その前に1つ選択肢が増えるという意味でも、デメリットがほとんどないといえるでしょう。

4 最後に


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 当社(株式会社AtoJ)が提供しているOneNegotiationは、法務省が認証した民間紛争解決手続です。

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Author Profile

弁護士 森理俊(大阪弁護士会)
株式会社AtoJ代表取締役。長年にわたるスタートアップ法務の第一線で活躍した知見を活かし、数多くのスタートアップにリーガルアドバイスを実施。経営経験及び法務経験を活かし、ODR事業を展開中。