相手方から損害賠償請求をされているけども、それが払えないという場合、どのように対応したらいいでしょうか?
本コラムで解説していきます。
なお、本コラムは、前提として、損害賠償を支払うことに異論がなく、請求額が妥当であるという前提で説明します。
損害賠償請求されているけれど、これって本当に支払う義務があるの?、金額も本当に妥当なの高すぎないの?という疑問が少しでもある場合は、弁護士に法律相談に行き、具体的に相談することを強くお勧めします。
1 保険による対応
例えば、店の中でよろめいて商品を誤って壊してしまった。あるいは子どもがボール遊びをしていて隣の家のガラスを割ってしまった。
このような場合、個人賠償責任保険に加入をしていたら、保険から支払われる場合があります。
この手のことがあったら、自動車保険や火災保険など家族の保険を総チェックし「個人賠償責任保険」で補償してもらえないか確認しましょう。
ただ、故意で行った喧嘩などは対象にならないことが一般的です。
弁護士費用特約に加入していれば弁護士費用が支出され、相手との交渉をゆだねることもできます。
2 分割払いの提案
自動車運転中に人身事故を起こしたが任意保険に加入していなかったという場合、不倫をしていたことが不倫相手の配偶者にわかってしまい賠償を求められた場合、かっとなって暴力をふるってしまって相手に怪我をさせた場合など、支払義務があり常識的な範囲で賠償金を支払って終わらせたいもののお金が準備できないことは、ありえます。
この場合、一括払いではなく、分割払いを提案する
ことになるでしょう。
ただ、「本来一括払いが当たり前なのになぜ、分割払いになるのか」と被害者(=損害賠償請求の債権者)の怒りが増す場合があります。
この場合、支払いたいけれども、お金がないことを伝え、借りてでも一括でお金を工面する代わりに多少減額してくれないか交渉することも一案です。
また、一括で支払えないとすれば支払いが分割とならざるを得ませんが、それでも少しでも頭金を多く用意できないか、相手と話が決まる前であってもお金を積み立てるなど支払う努力を見せ、誠意を理解してもらえればよりよいのではないかなと思います。
3 和解の条件として考えられること
当然、損害賠償を請求している側は、途中で返済が滞るリスクを引き受けることになりますので、支払う側は様々な条件を突き付けられる
ことになります。
例えば、①利息を支払うという約束をつける、②支払いが遅れたら分割払はなくなり一括での支払いでかつ遅延損害金が発生する(「期限の利益の喪失」といいます)、③連絡先が変わった際は必ず連絡するようにといった約束を求められる、④連帯保証人や担保を求められる、⑤勤務先や収入や資産の開示を求められる、ということは十分にあり得ます。
できない約束をしてしまっては、加害者にも被害者にも本来の解決にはなりません。
支払う側としてはできること、できないことの区分けをはっきりしつつも、被害者に支払う誠意と努力を示すのが肝要です。理解を得られるのは大変難しい場合もありますが、それでも誠意と努力を示すことが最も近道である場合は少なくありません。
以上、損害賠償を請求されているけども、払うことが難しい場合の対応をお話しました。
何よりもまず、誠実に対応することが肝要ですので、その点に注意しながら、話を進めるようにお勧めします。
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- 2004年 弁護士登録。事件取り扱い分野は、一般民事、相続、離婚など家事事件、債務整理など
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