強制執行をしても泣き寝入りしないための対処法

弁護士 垂水祐喜(大阪弁護士会)
弁護士 垂水祐喜(大阪弁護士会)
2024/09/11

強制執行を申し立てたいのですが、泣き寝入りにならないでしょうか?

そんなご不安を抱えられている方、なぜそのように思ってしまうのか、そうならないためにどう対処していけばいいのか、本コラムで解説していきます。

1 なぜ、泣き寝入りすると言われるのか…?


なぜ、強制執行を申し立てても、泣き寝入りするかもと思ってしまうのでしょうか?

それは、強制執行の手続きに原因があります。

例えば、お金を貸している相手から、お金を返してもらいたいという場合、相手の持っている不動産を差し押さえたり、預貯金や給料を差し押さえたりするということを考えることになります。

預貯金や給料を差し押さえるためには、まずお金を貸している人に対して、裁判を起こし、債務名義を得て、それを基に強制執行を申し立てる必要があります。

ただ、強制執行を申し立てる際、相手のどういった資産を差し押さえるのかということは、申し立てる側が裁判所に説明する必要があります。

また、判決を取得しても、それまでの間に相手が自身の財産を他に移転してしまっていることもあります。

2 相手の財産を把握するための方法


ご自身が相手の財産を把握できていない場合、財産開示手続き第三者からの情報取得手続きが利用されることがあります。

前者は、相手を裁判所に出頭させ、裁判官の目前で、自ら所有する財産を明らかにさせる手続きです。裁判所に出頭しなかったり、嘘の陳述をした場合には、刑事罰が科されることがあり、これによって自ら財産の内容を述べる動機を与えます。

後者は、例えば、相手の住所の近隣の銀行等に対し、相手がそこの銀行に口座を持っていないかということを明らかにしてもらう手続きとなります。

銀行等が嘘をつくことはないので、財産開示手続きよりもより確実に財産を把握できる方法になります。

3 相手が財産を移転することを防ぐための方法


相手が財産を移転してしまうのを防ぐ方法としては、仮差押えという手続きを申し立てます。

これは、判決が出て、強制執行を行うまでの間、相手の財産を一時的に固定し、他に処分したり、移転することを防ぐための方法になります。

仮差押えを申し立てるには、担保金を裁判所に納める必要があり、ご自身が持っている債権額次第では、高額になる場合もありますが、財産の処分を防ぐという意味では、かなり有効な方法です。

ただ、仮差押えを申し立てるためには、相手方の財産を把握している必要がありますので、注意してください。

4 新しい債権回収方法


債権を回収するためには、強制執行も有効な方法ですが、ODR(オンライン紛争解決)という方法も目が離せません。

ODRはオンライン上で調停の申立てが可能であり、相手方の財産を把握できていないくとも、調停の中で、相手が支払いに応じてくれれば債権の回収が可能となります。

実際、弁護士として活動している中でも、判決を取得して強制執行を申し立てるよりも、和解して支払金額を調整した方が、回収への期待が高まるということを実感しています。

当社の提供しているOneNegotiation(ワンネゴ)というサービスは相手のメールアドレス等が分かっていれば、それだけで申立てが可能なものとなっています。

債権回収でお困りの方は、是非一度ワンネゴの利用を検討してみてください。
申立ては、こちらから→service.1nego.jp

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Author Profile

弁護士 垂水祐喜(大阪弁護士会)
上場企業のメーカー法務部の勤務を経て、現在、中之島中央法律事務所にて執務中。使用者側の労働事件・契約法務をはじめとした企業法務をメインの業務とする。