業務委託費の支払いがされないというご相談を時々受けることがあります。
そのような場合には、泣き寝入りするしかないのでしょうか。
業務委託費の未払いが発生した場合の対処法について、解説していきます。
1 金額の確認
まず、最初にやるべきことは、請求根拠の確認です。
業務委託費が支払われないという相談を受けた際、「どういった報酬体系で、いくらが未払いなのか?」という質問に意外と答えられない方がいらっしゃいます。
SNSのやり取りでもいいので、一体いくらの報酬を約束したのかという点を明確にできるようにしておきましょう。
逆にいえば、口頭だけでやり取りをしている場合、いくらの報酬を約束したのかという点が明確にできず、そもそもの金額自体が争いになってしまう可能性があります。
このように、きちんと報酬額を証明する客観的な資料を残しておくことが重要
といえます。
2 フリーランス新法
【フリーランス向け】報酬の未払いがあったときの対処法について弁護士が解説
こちらのコラムでも解説しているように、令和6年1月にフリーランス・事業者間取引適正化等法という法律が施行されました。
この法律は業務委託の場合でも適用される可能性があります。
適用が認められる場合には、
①業務提供を受けた日から60日以内の支払いをしなければならない。
②業務提供(1か月以上のもの)に関し、フリーランスの責めに帰すべき事由なく業務の受領を拒んだり、一方的に報酬を減額したり、返品したりしてはならない。
という制限がかかります。
業務委託費の未払いがあった場合には、行政に助けを求めることも考えられるかもしれません。
3 業務委託費の回収方法
とはいえ、現実的には、まずはご自身による回収を試みることになるでしょう。
(1)内容証明
内容証明を送付して、報酬の支払いを督促します。
内容証明については、こちらのコラムも参照してください→内容証明郵便とは?
(2)支払督促
支払督促を行う方法もあります。異議申立てがされることも考えられますが、迅速に債務名義を獲得できるので、早く委託費用を回収したいと考えられる方にとっては有用な方法です。
支払督促については、こちらのコラムも参照してください→支払督促とは?手続き等について解説します
(3)少額訴訟
未払い委託費が60万円以下であれば、少額訴訟の利用を検討するのもいいかもしれません。
原則、1回の審理で終結しますので、通常の訴訟と比較しても簡便な手続きになっています。
少額訴訟については、こちらのコラムも参照してください→少額訴訟ってなに? 60万円以下のお金のトラブルに限って利用できる裁判制度があるって聞いたけど・・・
4 ODRの利用
とはいえ、自力で法的手続きを進めたり、行政に連絡したりという対応を取ることは、なかなかに難しいと思います。
そこで、ODRという方法をご紹介します。ODRとはオンラインで行われる紛争解決手続きのことをいいます。
当社の提供しているOneNegotiation(ワンネゴ)もODRの一種ですが、スマホで入力項目を入れていくだけで調停の申立てが可能です。現在は、申立て無料となっており、費用もかかりません。
業務委託で働く中で、なかなか時間が取れないという方でも簡単に調停を申し立てることができます。委託費の未払いを解消したいけれども、なかなか時間も取れないという方は、是非一度ワンネゴの利用を検討してみてください。
ワンネゴの利用はこちらから→One Negotiation(ワンネゴ)
Author Profile
- 上場企業のメーカー法務部の勤務を経て、現在、中之島中央法律事務所にて執務中。使用者側の労働事件・契約法務をはじめとした企業法務をメインの業務とする。
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