訴訟を提起する場合、訴状に「請求の趣旨」を記載する必要があります。
よく「申立ての趣旨」と誤解されている方もいますが、正確には「請求の趣旨」といいます。
では、実際に請求の趣旨はどのように記載すればいいのでしょうか?具体的に解説していきます。
1 「請求の趣旨」とは
上に書いたように、裁判の訴状を作成するとき、本文の一番最初に書くのが「請求の趣旨」です。
訴状には、最初に当事者の名前や住所など形式的事項を記載して、そのあとに、「請求の趣旨」が記載されます。
請求の趣旨とは、原告が裁判所に対して、実現してほしい、確認してほしいと訴える内容の骨子
です。請求の趣旨には、被告に給付を請求する内容(例:~を支払え)や、権利または法律関係の存否を確認する内容(例:~の債務が存在しないことを確認する)や、法律関係の変動を生じさせる内容(例:~と~を離婚する)を具体的に記載する必要があります。
この訴状というのは、原告(裁判を訴える方)が最初に裁判所に提出する書類で、裁判官は、訴状を見て、原告がだれで、裁判で何を求めているのか、初めて知ります。
裁判の第一印象を決めるとともに、訴状は原告の主張の骨組みを示しますのでとても重要です。訴状の名宛人は裁判所であり、被告ではないところは、ポイントです。
2 「請求の趣旨」の具体例
「趣旨」というのは、要点のことですから、要するに、この手続きで何を実現したいのか端的に書くことになります。
例えば、AさんがBさんに貸したお金200万円が返ってこないから返してほしいという裁判を起こすときは、Aを原告、Bを被告として、「被告は、原告に対して、200万円を支払えとの判決を求める」と「請求の趣旨」に記載することになります。
更に、借り入れた日から利息3%、返済日まで1年と約束し、違約金の利率年10%を定めていた場合は、「被告は、原告に対して、206万円(200万円+支払日までの利息)及び内200万円に対して●年●月●日(支払期日の翌日)から支払済みまで年10パーセントの割合による金員を支払えとの判決を求める」ということになります。
上記の太字部分が200万円であるのは10%の違約金は元金に対してかかってくるので206万円ではなく、その内の200万円となります。
3 「請求の趣旨」を書く上で大切なこと
「請求の趣旨」で大切なことは、ずばり、何をしてほしいかという「結論だけ」を書くこと
です。
「請求の趣旨」を書いた後に、「請求の理由」が続きますが、ここに、これまでの事実関係や、どうして裁判を起こすほどの事態になったのかなど、を書きます。
この請求の理由というのは、200万円をいつどのように貸して、被告が返済をしないこととか、どういう経過で裁判まで起こすことにしたのかという事実経過を詳しく書いていくことになります。おそらく、被告が不誠実な態度をとったことなど裁判官にぜひわかってほしい事情があると思いますが、それは「請求の趣旨」ではなく、その後に続く「請求の理由」に書きましょう。
第2のポイントとしては、「請求の趣旨」は、あいまいなものではなく、具体的に何をしてほしいか、一義的(1つの意味にだけ解釈できること)にわかるように書くことが大切
です。
裁判官は原告の書いた「請求の趣旨」をみて、その訴えを認めるべきか、裁判での審理を通じて考えます。ですから、例えば、金額をあいまいにするのではなく、返してもらえない金額や利息が具体的にいくらかと特定して、請求の趣旨に金額を記載する必要があります。
4 訴状提出後の対応
裁判所に訴状を提出したら、裁判所の書記官から、訂正の連絡があるかもしれません。
書記官は、裁判の手続き、記録作成など事務的なことに非常に精通している専門職ですから、的確な指摘を受けられます。
また裁判の手続きの途中で、「訴えの変更」といって請求の趣旨を変える手続きもあります。ただ、貸し付けの日付や金額がコロコロ変わるなどすると、請求そのものが本当なのかと疑問に思われる可能性がありますので、やはり、最初にきちんと、精査をして請求の趣旨を作成する
ことをお勧めします。
5 ワンネゴの利用
裁判所の手続きは、書類作成や使われる用語も専門的で、ご自身で行うとなると大変です。場合によっては、弁護士に依頼することも検討されるでしょう。
ただ、請求する金額によっては、費用をかけるのは難しいということも考えられます。
そんなときに有効なのが、弊社の提供しているOneNegotiation(ワンネゴ)です。
ワンネゴは、スマホ上で、あらかじめ用意された選択肢をタップしていくだけで、簡単に調停の申立てが可能です。訴訟と異なり、強制執行をすることが可能な判決をもらうことはできませんが、話合いによって任意の支払いを促すことが可能です。
請求の趣旨を書くことが難しいとか、費用をかけて訴訟をすることが難しいと悩まれている方は、是非一度ワンネゴの利用を検討してみてください。
ワンネゴの利用はこちらから→One Negotiation(ワンネゴ)
Author Profile
- 2004年 弁護士登録。事件取り扱い分野は、一般民事、相続、離婚など家事事件、債務整理など
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