法務省から公益財団法人日弁連法務研究財団作成の2024(令和6)年3月15日付け「ODRの社会実装の促進に関する調査研究業務」に関する報告書が公開されました。
詳細については、こちらをご覧ください。
⇒法務省:ODRの社会実装の促進に関する調査研究(ODR実証事業)に係る報告書
法務省では、令和4年3月に策定された、「ODRの推進に関する基本方針~ODRを国民に身近なものとするためのアクションプラン~」に基づき、ODR実証事業を実施しており、このODR実証事業の研究報告として、2024年(令和6年)3月29日に、『ODRの社会実装の促進に関する調査研究報告書』が公開されました
。
このODR実証事業「ONE」は、株式会社AtoJがシステム開発に関与してサポートしていました。
1 報告書の内容
今回の報告書では、約4か月の実施期間中に、法律相談申込みが171件、調停申立てが55件あり、このうち7件の調停成立があったことが報告されています。
今回、使用されたシステムでは、以下の点に大きな特徴がありました。
① 法律相談フェーズと調停フェーズを1つの一体型のアプリケーションとして構築
されている点
② 法律相談フェーズはチャットのみで実施
し、調停フェーズでは主としてチャットを用い、場合によりオンライン面談も可能
とした点
③ 法律相談担当も調停担当も、いずれも弁護士が案件ごとに選任されている
点(同一案件では、法律相談担当と調停担当では、異なる弁護士が選任されている)。
④ 和解合意についても、システム上で完結
している点
⑤ 無償で実施
されている点
課題としては、報告書13頁「5 ODR 実装上の課題と対応策について」以下に詳細が述べられています。このうち大きなものとしては、通常の弁護士会ADR の応諾率と比較して本実証事業の応諾率が低かったこと、有料とした場合の相談やODRの申込み案件数が明確ではないこと、法律相談を実施しないADR機関が既存の相談機関の連携等によりワンストップのサービスを行うための仕組みが社会的に構築されるには至っていないことなどが挙げられているように思います。
2 ODRの今後の展望
法律相談やADR手続のオンライン化は避けられない流れ
であり、また、これまでのADRでは対応できなかった、相談機関のワンストップ連携、プラットフォーム等と連携した専門性への特化、少額案件への対応といった新たな領域に広がることが予想されます。
株式会社AtoJは、Access to Justiceの理念を社会に広く推進するため、法律相談やADR手続のオンライン化することに積極的に対応しています。ご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
Author Profile
- 株式会社AtoJ代表取締役。長年にわたるスタートアップ法務の第一線で活躍した知見を活かし、数多くのスタートアップにリーガルアドバイスを実施。経営経験及び法務経験を活かし、ODR事業を展開中。
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